塗料と仕様の話

外壁塗装の塗料の種類と選び方|シリコン・フッ素・無機の耐用年数を比較

結論からお伝えします。外壁塗装の塗料は「あと何年、この家に手をかけずにいたいか」で選ぶのが一番わかりやすい方法です。10年ごとに手を入れるならシリコン。同じくらいの予算でもう少し長くもたせたいならラジカル制御型。15年以上あけたいならフッ素か無機。まずはこの3択で考えてください。

塗料の名前は数百種類あります。でも、覚えるべきことはそれほど多くありません。この記事では、京都・滋賀で外壁塗装や防水工事を手がけるシンセイ株式会社が、専門用語をできるだけ使わずに、塗料の違いと選び方の順番を整理します。

30秒でわかる結論

あなたの状況選びやすい塗料ひとことで言うと
あと5〜10年で建て替え・住み替えの可能性があるシリコン必要な保護だけに絞る
あと10〜15年は住む。色は白系・淡い色がいいラジカル制御型ほぼ同じ値段で4年ほど長持ち
15年以上あけたい。足場を組む回数を減らしたいフッ素1年あたりのコストが下がる
外壁の黒ずみ・藻・コケが気になっている無機(低汚染タイプ)雨で汚れが流れ落ちやすい
濃い色(黒・濃紺・こげ茶)にしたいフッ素・無機濃色はラジカルが不利になりやすい
※すべて目安です。最終的には外壁材の種類と劣化の状態を見て決めます。

外壁塗装の塗料は「樹脂の種類」でほぼ決まる|6グレード比較表

結論:塗料選びとは、実質「樹脂のグレード選び」です。アクリル→ウレタン→シリコン→ラジカル制御型→フッ素→無機の順に、長持ちして高くなります。

塗料は、大きく分けると「樹脂」「顔料」「溶剤」でできています。このうち耐久性を決めているのが樹脂です。顔料は色を、溶剤は塗りやすさを担当します。

服にたとえると、樹脂は生地です。同じデザインのシャツでも、生地が違えば何年着られるかが変わります。塗料も同じで、商品名より樹脂のグレードを見たほうが、性能の見当がつきます。

まずは全体像です。金額は足場・高圧洗浄・下地補修・3回塗りを含む総額の目安。延床30坪(塗装面積120㎡前後)の戸建てを想定しています。

樹脂グレード耐用年数の目安施工単価の目安(1㎡)30坪住宅の総額目安ひとこと
アクリル約5〜7年約1,400〜1,800円約60〜75万円いまは外壁全面ではあまり使わない
ウレタン約7〜10年約1,700〜2,500円約65〜85万円木部・鉄部など付帯部で活躍
シリコン約8〜12年約2,300〜3,000円約75〜100万円長年の定番。色の自由度が高い
ラジカル制御型約12〜16年約2,500〜3,500円約80〜105万円シリコンとほぼ同額で長寿命
フッ素約15〜20年約3,500〜5,000円約95〜130万円公共施設でも実績が長い
無機約15〜25年約4,000〜5,500円約100〜140万円汚れにくさが最大の強み
※2026年時点の一般的な目安です。原材料価格の変動で塗料代は上下します。実際の金額は現地調査後のお見積りでご確認ください。

この表で注目していただきたいのは、シリコンとラジカル制御型の差です。1㎡あたり数百円しか違わないのに、耐用年数の目安は4年ほど変わります。ここが、いま塗料選びで最も判断の分かれるところです。

「1年あたりいくら」で見ると景色が変わります

総額だけを見ると高いグレードは割高に感じます。ですが、総額 ÷ もつ年数で計算すると、順番が入れ替わります。

樹脂グレード30坪の総額目安もつ年数の目安1年あたりの費用目安
アクリル約68万円約6年約11.3万円
ウレタン約75万円約8年約9.4万円
シリコン約90万円約10年約9.0万円
ラジカル制御型約95万円約14年約6.8万円
フッ素約115万円約17年約6.8万円
無機約125万円約20年約6.3万円
※各グレードの中央値で試算した目安です。実際は下地の状態・立地・方角で差が出ます。

さらに、外壁塗装では足場代だけで15〜25万円ほどかかるのが一般的です。塗り替えの回数が1回減れば、その足場代も1回分減ります。長期で考えるほど、高耐久の塗料が効いてくる理由はここにあります。

シリコン塗料|迷ったらここ、という標準グレード

結論:価格と耐久のバランスが良く、色の選択肢も豊富。「10年ごとに点検して手を入れる」という考え方の方に合います。

シリコン塗料は、長いあいだ外壁塗装の主力だったグレードです。耐用年数の目安は約8〜12年。価格も手頃で、濃い色から淡い色まで安定して仕上がります。

情報が集めやすいのも利点です。施工実績が多いぶん、「この色にしたらどう見えるか」の事例を探しやすい。色で迷いたくない方には心強い選択肢です。

こんな方に向いています:築22年の戸建て。あと10年ほど住んだら、子どもの独立に合わせて住み替えも考えているOさん

住み替えの可能性があるなら、20年もつ塗料に投資しても回収しきれません。10年前後で区切れるシリコンは、この場合むしろ合理的です。

シリコン塗料
得意なこと価格を抑えつつ、しっかり保護する
苦手なこと15年以上あけたい場合には力不足になりやすい
色の自由度高い(濃色も問題なく選べる)
向いている部位外壁全般。付帯部との組み合わせもしやすい
※商品によって性能に幅があります。同じ「シリコン」でも樹脂の配合量で差が出ます。

ラジカル制御型塗料とは?シリコン塗料との違いをやさしく解説

結論:シリコンとほぼ同じ価格で、耐用年数の目安が約12〜16年。ただし濃い色では本来の力が出にくい、という弱点があります。

まず「ラジカル」から説明します。塗料には、色を白くするために酸化チタンという粉が入っています。ここに紫外線が当たると、酸化チタンから強いエネルギーが飛び出します。これがラジカルです。

このラジカルが、塗料の樹脂を内側から傷めます。その結果おきるのが、外壁を手でこすると白い粉が付く「チョーキング」や、色あせです。つまりラジカルは、塗膜を劣化させる犯人です。

ラジカル制御型塗料は、この犯人を2段構えで押さえ込みます。

  • 1段目:閉じ込める/酸化チタンの粒をバリア層で包み、ラジカルが飛び出しにくくする
  • 2段目:捕まえる/光安定剤(HALS)を加え、漏れ出したラジカルをその場で無力化する

日焼け止めにたとえると、紫外線をブロックする成分と、肌荒れを抑える成分の両方を入れたようなイメージです。この仕組みによって、シリコンとほぼ同じ価格帯のまま、耐用年数の目安を約12〜16年まで伸ばしています。

濃い色の外壁をローラーで塗装している職人
濃色を希望される場合は、ラジカル制御型以外のグレードも並べて比べると納得しやすくなります

ただし、弱点があります。ラジカル制御の仕組みは白い酸化チタンを前提にしています。そのため黒・濃紺・こげ茶などの濃い色では、本来の性能が出にくいとされています。

こんな方に向いています:築15年。外壁はアイボリー。できるだけ手をかけずに長くもたせたいSさん

淡い色でこの条件なら、ラジカル制御型は最有力です。シリコンとの価格差は30坪でおよそ5〜10万円。それで4年前後の差が期待できます。

逆に「今回は思いきって濃い色にしたい」という場合は、フッ素や無機を含めて比べてください。色と塗料はセットで決めるものだとお考えいただくと、判断がぶれません。

フッ素塗料の特徴|足場を組む回数を減らしたい方へ

結論:耐用年数の目安は約15〜20年。3階建て・アパート・高所の建物など、足場代が高くつく建物ほど有利になります。

フッ素塗料は、フライパンのコーティングにも使われるフッ素樹脂を配合した塗料です。紫外線に強く、公共施設や高層ビルでの採用実績が長いのが特徴。性能の読みやすさが評価されています。

フッ素を検討する価値がいちばん高いのは、足場代の比重が大きい建物です。3階建て、傾斜地に建つ家、アパートやマンション。こうした建物では、足場だけで数十万円かかることも珍しくありません。

こんな方に向いています:3階建てで足場の設置に手間がかかり、前回の見積りでも足場代が30万円を超えたTさん

塗り替えが1回減れば、単純に足場代1回分が浮きます。塗料代の差額より足場代のほうが大きくなるケースでは、フッ素のほうが総支出を抑えられることがあります。

費用の内訳をもっと詳しく知りたい方は、外壁塗装の費用相場|坪数別・塗料別の目安と見積りの内訳もあわせてご覧ください。

無機塗料の特徴|「色あせ」より「黒ずみ」が気になる方へ

結論:耐用年数の目安は約15〜25年で最上位。最大の武器は寿命よりも「汚れにくさ」です。

無機塗料は、ガラスや石といった無機物を樹脂に配合した塗料です。無機物は紫外線を浴びても分解されません。そのため塗膜が傷みにくく、長い年数を期待できます。

もうひとつの特徴が低汚染性です。塗膜の表面が水になじみやすくなり、汚れの下に雨水が入り込んで汚れを浮かせます。雨が降るたびに、外壁が自分で汚れを落としてくれるイメージです。

こんな方に向いています:幹線道路沿いの家。まだ10年しか経っていないのに、外壁の下のほうが黒ずんできたKさん

排気ガスや土ぼこりによる黒ずみは、塗料の寿命とは別の悩みです。低汚染タイプの無機塗料は、この「見た目の劣化」に直接効きます。

注意点もあります。無機塗料は塗膜が硬めになる傾向があり、動きの大きい下地ではひび割れへの追従性を考える必要があります。建物に合うかどうかは、現地の状態を見たうえで判断します。

その外壁にどのグレードが適正か、無料で診断します

スマホで撮った外壁の写真を送っていただくだけで結構です。劣化の状態と、それに合う塗料のグレードをお伝えします。費用は無料、しつこい営業はいたしません。

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屋根の塗料は外壁と同じグレードにすべき?

結論:同じでなくても構いません。大事なのは「外壁と屋根の塗り替え時期をそろえる」ことです。

屋根は外壁より直射日光と雨を強く受けます。同じ塗料でも、屋根のほうが早く傷むのが普通です。ですから「外壁はシリコン、屋根はワンランク上」という組み合わせにも十分な理由があります。

スレート屋根をローラーで塗装している様子
屋根は紫外線と雨の影響を最も強く受けます。外壁と塗り替え時期をそろえる設計が重要です

避けたいのは、屋根だけ極端に安いグレードにすることです。屋根が先に寿命を迎えると、屋根のためだけにもう一度足場を組むことになります。足場代15〜25万円が余分にかかる計算です。

組み合わせ塗り替え時期評価
外壁シリコン + 屋根シリコン屋根が先に傷みやすい屋根だけ先に足場が必要になる可能性
外壁シリコン + 屋根フッ素ほぼそろうバランスが取りやすい
外壁ラジカル + 屋根フッ素ほぼそろう長めの周期でそろえたい方に
外壁フッ素 + 屋根シリコン屋根が大幅に先おすすめしにくい
※屋根材の種類(スレート・金属・瓦)によっても適した塗料は変わります。

京都・滋賀で塗料を選ぶ|地域ごとに効いてくる環境要因

結論:耐用年数はカタログの数字であり、実際の寿命は立地で変わります。エリア特有の負荷を前提に選ぶと外しません。

同じ塗料でも、建っている場所によって傷み方は違います。当社が施工エリアとしている京都・滋賀には、それぞれ違った負荷のかかり方があります。

エリア・環境建物にかかる負荷塗料選びで意識したい点
京都市内(盆地)夏の高温と強い日射、冬の底冷え。寒暖差が大きい紫外線に強いグレード+伸縮に追従する下地処理
福知山・丹波方面霧が出やすく、冬は積雪。湿気がこもりやすい防藻・防カビ性能と、北側外壁の結露対策
大津・琵琶湖周辺湿度が高く、藻やコケが発生しやすい汚れが流れ落ちやすい低汚染タイプが有効
幹線道路沿い全般排気ガスによる黒ずみが付きやすい低汚染タイプで美観の維持期間を延ばす
※同じ市内でも、日当たりと風通しで劣化の速さは変わります。方角ごとの差も含めて診断することをおすすめします。

京都市内の建物について、地域特有の条件を踏まえた考え方は京都市の外壁塗装のページでもご紹介しています。

塗料のグレードより大事な「下地」と「3回塗り」

結論:どれだけ良い塗料を選んでも、下地が整っていなければ性能は出ません。ここが最も差の出る工程です。

化粧にたとえると、塗料はファンデーション、下地処理は化粧下地です。下地を省いて高いファンデーションを塗っても、きれいにのりませんし、もちません。外壁もまったく同じです。

ひび割れを埋めないまま塗る。浮いた古い塗膜の上から塗る。こうした状態では、数年で剥がれが出ることもあります。

もうひとつ大事なのが3回塗りです。外壁塗装は「下塗り・中塗り・上塗り」が基本。このうち下塗り材は、上塗り塗料との相性で選びます。上塗りだけ高いグレードにしても、下塗りが合っていなければ密着不良の原因になります。

つまり、見積書で確認すべきは上塗り塗料の商品名だけではありません。下塗り材の商品名と回数まで書かれているかを見てください。

見積書チェックリスト

  • ☐ 上塗り塗料の「メーカー名・商品名・グレード」が書かれている
  • ☐ 下塗り材の商品名と塗る回数が書かれている
  • ☐ 「塗料一式」「工事一式」でまとめられていない
  • ☐ 塗装面積(㎡)が記載され、実測にもとづいている
  • ☐ 外壁と屋根、それぞれの塗料が分けて書かれている
  • ☐ 付帯部(雨どい・破風・軒天)の塗料も書かれている
  • ☐ 各工程の写真を記録として残してもらえる

シンセイ株式会社では、建設業14業種の許可と有資格者の在籍を活かし、下地補修から仕上げまで自社で一貫して管理しています。塗装は完成すると中身が見えなくなる工事です。だからこそ工程ごとに写真を記録し、施工写真台帳としてお渡ししています。

見積書やカタログでよく出る用語の言い換え早見表

結論:業者の説明がわかりにくいと感じたら、この表を手元に置いてください。用語がわかると、比較の精度が上がります。

よく出る用語かんたんに言うと
チョーキング外壁を手でこすると白い粉が付く現象。塗膜が劣化しているサイン
シーラー/プライマー下塗り材のこと。上塗り塗料を密着させる接着剤の役割
フィラー細かいひび割れや凹凸を埋めるタイプの下塗り材
低汚染性汚れが付きにくく、雨で流れ落ちやすい性質
親水性水になじむ性質。汚れの下に水が入り込み、汚れを浮かせる
ラジカル紫外線で発生し、塗膜の樹脂を傷めるエネルギー
促進耐候性試験紫外線などを人工的に当てて、劣化の速さを測る試験
期待耐用年数試験の結果から想定した、塗膜がもつ年数の目安
ケレン鉄部などのサビや古い塗膜を落とす下地処理
付帯部雨どい・破風・軒天・雨戸など、外壁以外の塗装箇所
※説明を求めても答えが曖昧な場合は、他社にも見積りを依頼して比べることをおすすめします。

塗料の種類に関するよくある質問

Q. 「10年保証」と塗料の耐用年数は同じものですか?

A. 別のものです。耐用年数は塗料メーカーが試験にもとづいて示す性能の目安。保証は施工会社が定めた不具合対応の範囲と期間です。保証には対象外の項目(自然災害、色あせの程度など)が定められているのが一般的です。年数だけでなく保証書の適用範囲を必ずご確認ください。

Q. 外壁と屋根で違うメーカーの塗料を使っても問題ありませんか?

A. 部位が分かれていれば、大きな問題にはなりにくいです。注意したいのは同じ部位で下塗りと上塗りのメーカーが違う場合。密着性の検証がされているか確認したほうが安心です。メーカーが推奨する組み合わせがあるなら、それに沿った仕様が無難です。

Q. 水性塗料と油性(溶剤)塗料はどちらが良いですか?

A. どちらが優れているという話ではなく、下地と部位で使い分けるものとお考えください。近年は水性の性能が上がり、外壁の多くは水性で対応できます。においが少なく、近隣への負担が小さいのも利点です。一方、鉄部や、古い塗膜との相性が難しい下地では油性が選ばれることがあります。

Q. カタログどおりの年数はもちますか?

A. カタログの年数は試験にもとづく目安です。実際の建物では、日当たり・雨がかり・立地で差が出ます。同じ家でも南面と北面で劣化の進み方が違うのは珍しくありません。年数は計画を立てるための基準としてお考えください。

Q. 前回と同じ塗料を選べば安心ですか?

A. 前回の塗り替えから10年前後経っていれば、同等品でも改良されていたり、より条件の合う選択肢が増えていたりします。前回の仕様は参考にしつつ、いまの外壁の状態を見たうえで選び直すことをおすすめします。前回の見積書や仕様書が残っていれば、診断時にお見せいただけると精度が上がります。

まとめ|塗料選びは3ステップで決まります

結論:性能表から入ると迷います。「何年後にどうしたいか」から逆算すると、選ぶべき範囲は自然に絞れます。

最後に、決め方の順番を整理します。この3ステップで進めてください。

ステップ考えること決まること
STEP 1この家にあと何年住むか。次の足場をいつ組むつもりかグレードのおおよその範囲
STEP 2外壁を淡い色にするか、濃い色にするかラジカル制御型が候補に残るかどうか
STEP 3下地の状態を業者に診てもらう下塗り材と補修範囲、最終的な仕様
※STEP 3を省いて塗料だけ先に決めてしまうと、あとで仕様変更が必要になることがあります。

繰り返しになりますが、塗料の性能を引き出すのは下地処理と塗り方です。見積りを比べるときは金額だけでなく、下塗り材まで含めた仕様が書かれているかを見てください。それだけで、比較の精度はかなり上がります。

塗り替えを検討し始めるサインそのものを知りたい方は、外壁の塗り替え時期を見分ける7つのサインもあわせてどうぞ。

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